運営奨励賞
惜しくも受賞を逃したものの、受賞なしで終わるには惜しい作品に、主催者から「奨励賞」を授与させて頂きます。
     
作品
飲んだくれ達の夜

静かな文体で淡々と書かれた文章でした。祭りの後の静けさと寂しさのようなものが、どの作品よりも痛切に感じられました。

75点の女

歌舞伎町によくいる女性のひとつの型を、わかりやすく書いて頂きました。無駄な描写が一切なく、伝えたいことのために一直線に描かれたような作品でした。

そして朝になる

ものすごく「上手い」作品でした。受賞作の「サビオ」も「上手い」作品でしたが、個人的にはこちらの作品の方が「上手い」と思いますし、 また、読み手の心への余韻の残し方も、こちらの方が私は好きでした。「サビオ」が評価され、こちらが評価されなかった理由は、 そこで使われている道具があまりに現代的過ぎたからだと思います。風俗嬢とインターネットがクロスしている現状に、選考委員のほとんどに前提知識がなかったようです。非常に惜しい作品であったと思います。

目の下になめくじを飼うな

言葉の使い方が非常に上手く、小説というよりは現代詩として読みました。文章の脱臼のさせ方には最果タヒさんの影響を感じます。繰り広げるイメージも素敵でした(後半の教会の描写はすごくよいと思います)

ユウレイサギ

「上手い」小説だとは思ったのですが「心」に来ませんでした。このタイプの小説は登場人物に感情移入させる必要があると思うのですが、どの人物にも感情移入ができませんでした。読者の期待の裏切らせ方はすごく上手だと思いました。

ぶどう ばなな めろん

ここまでの長さが必要なのか?と思いました。やりたいことに対してあまりにも長すぎて、また、それだけの長さがあればもっと色んなことができたのでは?と 贅沢な不満を持ってしまいました。しかし、少なくともひとつ、作者さんがやりたかったことはちゃんとできていると思いました。

happy birthday

私はこの作品を読み始めて「ものすごい傑作が来たぞ!」と思いました。その「ビビッ」という感覚は応募作でも随一だったと思います。そのままのテンションで続けて頂ければ、十分に受賞作になったと思うのです。が、なぜか途中で失速してしまいました。

純潔

選考委員からは「偽善だ」「押しつけのやさしさだ」というような批判があがった作品です。しかし、作者さんの気持ちがありのままに出ている作品だと思います。

主催者からのコメント
今回は一ヶ月という限られた期間にも関わらず、たくさんの、そして粒よりの作品の応募、本当にありがとうございました。

今回、この賞をやるに至って、一貫して考えていたことは

「今までの文学賞が拾えなかった才能を拾いたい」

ということでした。

自分が最初に考えていたことが100%できた自信はありませんが、一ヶ月という短い募集期間ながらたくさんの応募を頂いたこと、本当に自由な作品をたくさん頂いたこと (1次選考を通過しなかったものにもそうしたものはたくさんありました) そして、応募者の方から寄せられたメッセージ、手ごたえは感じました。

「現在、既存の文学賞を見ていると、評価される小説の枠組みがある程度決まってしまっているという印象があります。そんな中で歌舞伎町文学賞を発見し、ここなら本当にどんな小説でも受け入れてくれるのではないかと思い、フルパワーで応募しました。それ自体がとても楽しい経験となり、その上ここまで選考に残していただいたことに感謝しております。本当にありがとうございました。」

応募者の佐川恭一さまから頂いたメールから引用させて頂きました(転載許可済)

そもそも、人の作品を評価するということは本質的にものすごくおごがましいことで、完全に正しく選考することは不可能だと思っています。選考期間中「ものすごく素晴らしい作品を、自分の読みの甘さで、拾いそこなってしまわないか」と、ずっとその恐怖と戦っていました。 歌舞伎町文学賞の選考は「完全ではありません」だから、落選した作品の中に、自分が拾いそこなった輝く才能があったかもしれません。 綺麗事ではなく、落とすのが惜しい作品がたくさんありました。だから、今回、落選した人たちは、これで書くのをやめないでください。

最後に、選考委員と運営スタッフの皆さま、今回はご協力頂きまして大変ありがとうございました。選考委員の人選から調整、そして歌舞伎町文学賞のプロデュースまで多大なご協力を頂きましたみょるどぶるーさん、下読みから選考まで実務的な面で協力して頂いたせりなさん、サイト周りの作業を手伝って頂きましたボランティアスタッフ1号さん、下読み作業にご協力頂きましたボランティアスタッフ2号さん、そして選考委員のみなさま、今回は本当にありがとうございました。